ファシリテーターズ デザイン思考ワークショップ

デザイン思考ワークショップにおける効果的なアイスブレイクと共感フェーズへの円滑な移行

Tags: デザイン思考, ワークショップ, ファシリテーション, アイスブレイク, 共感フェーズ

はじめに:ワークショップの成功を左右するアイスブレイクの重要性

新規事業アイデア創出を目指すデザイン思考ワークショップにおいて、冒頭のアイスブレイクは単なる参加者の緊張を解す行為以上の意味を持ちます。参加者間の心理的安全性を構築し、創造的な議論が活発に行われる土壌を耕すための重要なステップです。特に、多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まる企業内のワークショップでは、この初期段階でのファシリテーションがその後のワークショップ全体の成果に大きく影響します。

本記事では、デザイン思考ワークショップ、特に「共感フェーズ」へ円滑に移行するための効果的なアイスブレイクの選び方、具体的なアクティビティ例、そしてファシリテーターが意識すべきポイントについて解説します。

ワークショップにおけるアイスブレイクの目的

デザイン思考ワークショップにおけるアイスブレイクの目的は多岐にわたりますが、主に以下の点が挙げられます。

  1. 心理的安全性の構築: 参加者が安心して意見を述べ、批判を恐れずに発想できる環境を作り出します。
  2. 参加者間の相互理解の促進: 初対面または普段あまり交流のないメンバー間で、互いの人柄や共通点を知るきっかけを提供します。
  3. ワークショップの目的への意識統一: 遊びと学びのバランスを取りながら、これから始まる創造的な活動への意識を向ける準備を促します。
  4. 集中力の向上: 適度な運動や思考の切り替えを通じて、参加者の集中力を高めます。

これらの目的を達成するために、アイスブレイクは単調にならず、かつワークショップの性質から大きく逸脱しないものを選ぶことが重要です。

デザイン思考ワークショップに適したアイスブレイクの選び方

デザイン思考ワークショップの特性を考慮し、以下のような観点からアイスブレイクを選ぶことを推奨します。

具体的なアイスブレイクのアクティビティ例とファシリテーションのポイント

ここでは、デザイン思考ワークショップに特におすすめのアイスブレイクをいくつかご紹介します。

1. 「3つの質問」

2. 「マシュマロ・チャレンジ」の簡易版

3. 「ワン・ワード・イントロダクション」

アイスブレイクから共感フェーズへの円滑な移行

アイスブレイクで高まった参加者のエネルギーを、どのようにデザイン思考の共感フェーズへと繋げていくかが重要です。

  1. 目的の再確認とブリッジング: アイスブレイクの終了後、ファシリテーターはワークショップ全体の目的と、これから始まる共感フェーズの重要性を改めて説明します。 「先ほどのアイスブレイクでは、皆さんのアイデアを短い言葉で表現したり、チームで協力して挑戦する面白さを体感したりしました。ここからは、このワークショップの核心である『デザイン思考』のプロセスに入っていきます。まずは『共感』のフェーズです。」 このように、アイスブレイクで得られた学びや体験が、これから行う活動にどのように繋がるのかを明確に提示することで、参加者の意識を自然に移行させます。

  2. 共感フェーズの活動への導入: 共感フェーズでは、ユーザーへのインタビューや観察を通じて、その課題やニーズを深く理解することが求められます。ファシリテーターは、アイスブレイクで培われた傾聴の姿勢や、他者への関心を維持・発展させるよう促します。 「共感フェーズでは、私たちは特定のユーザーに焦点を当て、その人の立場に立って物事を深く理解することを目指します。先ほどのアイスブレイクで相手の話に耳を傾けたように、ここではさらに深く、ユーザーの真のニーズを引き出すためのインタビューを行います。」 共感マップやカスタマージャーニーマップなどのツールの紹介と、その実施目的を明確にすることで、参加者は具体的な行動に移りやすくなります。

ワークショップでよくある課題とファシリテーション上の対処法

まとめ:準備と実践が成功の鍵

デザイン思考ワークショップの成功は、その企画設計と、ファシリテーターによる実践的なリードによって大きく左右されます。特にワークショップの冒頭を飾るアイスブレイクは、参加者の心理的ハードルを下げ、その後の共感フェーズで求められる傾聴や共感の姿勢を育む上で極めて重要です。

本記事でご紹介したアイスブレイクの選び方や具体的なアクティビティ例、そして共感フェーズへの円滑な移行のためのファシリテーションのポイントが、皆様のワークショップ設計の一助となれば幸いです。これらのノウハウを実践に活かし、参加者全員が主体的に関わり、真に価値ある新規事業アイデアが生まれるワークショップを実現してください。