ファシリテーターズ デザイン思考ワークショップ

新規事業アイデアを形にする:デザイン思考「創造」と「プロトタイプ」フェーズのファシリテーション実践ガイド

Tags: デザイン思考, ファシリテーション, 新規事業, アイデア創出, プロトタイピング

新規事業開発において、画期的なアイデアの創出とその具体化は、成功への鍵を握ります。しかし、社内の既存の枠組みの中で、多様なアイデアを生み出し、それを実際に「形」にするプロセスは、多くの組織にとって共通の課題となるものです。特に、デザイン思考ワークショップを効果的に推進するためには、ファシリテーターの専門的な知識と実践的なスキルが不可欠です。

本記事では、デザイン思考の主要なフェーズである「創造(Ideation)」と「プロトタイプ(Prototype)」に焦点を当て、ワークショップを成功に導くためのファシリテーションの具体的な設計と実践ノウハウを詳細に解説します。抽象的な議論に終始せず、参加者から質の高いアウトプットを引き出し、具体的なアクションへと繋げるための実践的なアプローチを提供いたします。

創造(Ideation)フェーズ:多様なアイデアを量産するファシリテーション

創造フェーズの目的は、定義された課題やユーザーインサイトに基づき、できるだけ多くの、そして多様なアイデアを生み出すことです。このフェーズでは、量と多様性を重視し、既存の枠にとらわれない自由な発想を促す環境をファシリテーターが作り出す必要があります。

1. ファシリテーターの役割と心構え

2. 効果的なアクティビティとその実践

アクティビティ例1: 「1人ブレスト」からのグループ共有

通常のブレインストーミングでは、発言力の強いメンバーの意見に引きずられたり、思考が収束しがちになることがあります。それを防ぐために、まずは個人でじっくり考える時間を提供します。

アクティビティ例2: SCAMPER法

既存のアイデアや概念を多角的に検討し、新たなアイデアを生み出すためのフレームワークです。

3. 創造フェーズにおけるよくある課題と対処法

プロトタイプ(Prototype)フェーズ:アイデアを具体的な形にするファシリテーション

プロトタイプフェーズの目的は、創造フェーズで生まれたアイデアを具体化し、ユーザーからのフィードバックを得られる形にすることです。ここでは、完璧なものを作るのではなく、「検証したい仮説」を明確にし、それを最小限のコストで試せる「低解像度なプロトタイプ」を素早く作り上げることが重要になります。

1. ファシリテーターの役割と心構え

2. 効果的なアクティビティとその実践

アクティビティ例1: 紙芝居プロトタイプ(ストーリーボード)

サービスや製品の利用体験を、時系列で紙に描いて表現する手法です。ユーザーがどのような状況でサービスと出会い、どのように利用し、どのような結果を得るのかを具体的に示します。

アクティビティ例2: 低解像度プロトタイプ作成

物理的な製品、デジタルサービス、あるいは体験そのものを、最もシンプルで安価な方法で表現します。

3. プロトタイプフェーズにおけるよくある課題と対処法

結論:実践と反復がイノベーションを育む

デザイン思考ワークショップの「創造」と「プロトタイプ」フェーズは、新規事業アイデアの質を決定づける極めて重要なステップです。ファシリテーターは、単に進行役を務めるだけでなく、参加者の創造性を最大限に引き出し、抽象的なアイデアを具体的な形へと導くための触媒としての役割を担います。

今回ご紹介した具体的なアクティビティやファシリテーションのヒントは、限られた社内リソースの中で、自社でワークショップを設計・実行しようとするマネージャーの皆様にとって、すぐに活用できる実践的なノウハウとなることでしょう。

これらの手法を実践し、試行錯誤を繰り返すことで、ワークショップの質は向上し、社内から真のイノベーションが生まれる土壌が育まれていきます。失敗を恐れず、常に「より良いファシリテーションとは何か」を追求する姿勢が、成功への道を切り拓きます。